毎年富士宮市内の寺院では4月に信行会を執り行っております。
信行会は建長5(1253)年4月28日、日蓮大聖人が初めてお題目をお唱えし、
新たな宗門を開宗した聖日に行う法要で日蓮宗にとってはとても大切な日です。
市内のお寺が持ち回りで会場となり、
毎年多くの参拝者が参加する大きな行事です。
普段なかなか菩提寺以外のお寺をお参りする機会も少ないと思いますし、
お葬儀などでは目にすることのない華やかな法要となりますので見物がてら気軽にご参加頂けたらと思います。
さて・・・
その立教開宗のとき日蓮聖人は、
現在の千葉県鴨川市にある清澄寺旭森にて朝日に向かいお題目をお唱えしたと伝えられていますが、
日蓮聖人は当時32歳!!
私自身(副住職)が32歳の時に何をしていたのか思い返してみますと、
長女が生まれ子育てが始まり、生活が一変した記憶があります。
当時はその程度でも大変だと感じていましたが、
三つ子が生まれた後は子育てに追われる日々を迎えました。
かなり大変な思いもしましたがやはり我が子、みんなかわいいと思いますし立派に育ってほしいと願っています。
日蓮宗で拝読するお経は「法華経」ですが
その中に「譬喩品」と呼ばれるお経があり、このように説かれています。
「三界は安きことなし、猶火宅の如し。衆苦充満して、甚だ畏怖すべし。常に生老病死の憂患あり。是(かく)の如きの火、熾然として息(や)まず。如来はすでに、三界の火宅を離れて寂然として閑居し、林野に安処せり。今、此の三界は、皆我が有なり、其の中の衆生は、悉く是れ我が子なり、而も今此の処は諸の患難多し、唯我れ一人のみ、能く救護を為す。」
この世は様々な苦しみに満ちた世界であるが、そこに生きるすべての存在はすべて我が子同然に大切な存在であり、
その苦しみから抜け出す方法を教えて救い出さなければならない。
という、仏様の慈悲の深さを説いたものですが、日蓮聖人は
「釈尊は我等が父母なり、一代の聖教は父母の子を教えたる教経なるべし」(法門可被申様之事)
とお釈迦様や法華経という教えの大切さ、
そしてその教えに従って生きてゆけば、世の中の間違った考え方に惑わされずに正しく生きてゆくことができますよ。
とお示しになられています。
この正しい教えを世の中に広めるために「立教開宗」をされました。
信行会当日は法要の後も、身延山法務部長「吉村明悦上人」によります『心安らぐお題目』というご法話もございます。
さらには普段お会式のみご開帳しております「富士山願満天拝祖師」のご開帳も企画しておりますので、どうぞお寺まで足をお運びください。