前回の補足になりますが、ご質問を戴いたり、後から気づいたことなどを少し。
上の画像はあくまでも一例であり、住宅事情によるお仏壇のサイズや、土地柄によって異なる場合もあります。
日蓮聖人像や、仏具なども予算やスペースによって無くてもよい場合があります。
御本尊は確実に菩提寺から拝受したものをお供えください。
市販されているモノはただの印刷物です。
お仏壇の本義は御本尊を安置することです。
御本尊は何十年もそのお仏壇やご家庭を守護してくださる大切なものですので、ちゃんとした御本尊をご用意ください。
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仏飯について
仏飯とは仏様にお供えするご飯やお茶のことを言います。
ご飯はその日炊いたものをお供えし、炊かなかった場合はお茶のみでも構いません。
供え方は注意が必要で、間違った供え方をしているお宅が多いのでよく確認してしてくださいね。
上の画像でもそうですが・・・
お茶が左、ご飯が右 となります。
違和感があると思いますが、通常我々がご飯を食べるときは左にご飯、右に汁物と決まっていますが、仏様も同じです。
お仏壇は仏様の側から見たときに正しい向きとなるよう、向かい合った私たちとは反対向きになるわけです。
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日蓮聖人像について
日蓮聖人像は日蓮宗ではとても大切な方ですので、極力安置してください。
ただ、スペース的に不可能であったり、金銭的に一度に揃えられない場合は無理せず余裕のある時に揃えてください。
お寺の本堂と同じ機能を有するお仏壇は、御本尊に日蓮聖人を含めて勧請してありますので、
御本尊さえあればすべての仏像をお供えしているのと同じ意味があるのです。
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三具足・五具足について
香炉・燭台(ろうそく)・立花(生花)を合わせて、それぞれ一つの場合は三具足、燭台・立花が一対になると五具足といいます。
これはお仏壇のサイズに合わせて選んでもらえば、数はどちらでも構いません。
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過去帳について
過去帳には、ご先祖様の御戒名や、忘年などが書かれています。
お位牌を置くスペースは限られていますので極力置いて、ご先祖様の御供養を致します。
また中は、1日~31日までのページになっており、
毎朝お参りをしたときにその日の日付のページを開きます。
祥月命日以外の月でも、月命日といい毎月そのページを開いたときに書いてあるご先祖様の御戒名を読み上げ御供養してください。
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お供物について
一般的には果物やお菓子を高坏に載せてお供えします。
古くなる前に交換しましょう。
よく仏様にお供えしたものは食べられないという方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。
旬の初物など、夕食の前に少しお供えし、夕食の時に下げて食べても構いません。
また遠方の親戚や知人から頂いた物も一度お仏壇に供えましょう。
大きな箱の場合はお仏壇の下に置いても構いません。
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お仏壇本体について
常識的なものであれば、デザインは細かい規定はありません。
ただ、お仏壇はその時限りではなく、ご家族が受け継いで何十年も使うものです。
流行に流されず、飽きがこないオーソドックスなものが良いでしょう。
素材も規定はありませんので予算に応じて選んでください。
但し、造りがしっかりしたものを選ぶことが肝心で、
ダメなものだと数年で扉がガタついたり、板厚が薄いものだと少し押しただけで凹んでしまうものまであります。
内部の構造については、極力3段は欲しいところです。
また最上段真ん中には、御本尊を掛けるフックがあるか確認してください。
無い場合は後付けでも構いませんが、物によっては背面の板が薄く貫通してしまったり、
画鋲などで押したときに板自体がゆがんでしまうものまであります。
購入するときは専門店でアドバイスを受けながら、
素材よりも造りに拘り、触って確認する事を忘れないで下さい。
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お線香について
お墓参りで使うものより良いものを使ってください。
お墓参りでは杉線香をよく使いますが、煙は出ますがお香本来の香りはほとんどしません。
お仏壇では一度に使うのは1~3本ほどです。
高価なものでなくても構わないので、お香本来の香りがするものを選んでください。
稀に・・・カビが生えたり、湿気て曲がったものをそのまま放置しているお宅も見受けられますが、その場合は新しいものに変えましょう。
前略 大泉寺様
先日は丁寧な説明ありがとうございました。
やはり仏壇の置くスペースや仏壇本体の大きさ、価格等の問題から今回自身で仏壇を製作することにしました。
現在手探りではありますが、製図を進めております。
丁度仏壇内の壇の段数と曼荼羅の祀り方で質問させて頂こうと考えておりましたが、今回のコメントを参考に段数とフックの取り付けを考慮したい思います。
そして新たな追加の質問なのですが、先日ヤフオクにて中古の日蓮聖人仏像を手に入れました。
仏像はどれも高額で新品では手に入れる事は難しいと判断して、中古品を買いました。
その仏像ですが、本体自体の傷みは少ないのですが、土台に割れや経年劣化があり修理を要すると思われます。
仏師でもない自分が多少の木工の心得はあるにせよ、修理してよいものなのでしょうか?…。
いつもコメントありがとうございます。
コメントを頂けるとモチベーションも上がり、更新する意欲も出ます。
さてご質問の件ですが、まず結論から
「修理しても構わない」
と思います。
あくまでも心構えの問題です。
仏様の御像に手を入れるという事ですので、その時の心構えを少しだけ。
我々僧侶は写経や御仏像に触れるときは、直接息や唾がかかったりしないよう、覆面瓠(ふくめんこ)と呼ばれる紙で作ったマスクを着け、口内を清めるため含香(がんこう)というお香を口に含んで行います。
含香は一般的にクローブという香辛料としてスーパーなどで売っていますので、一度見てみてください。
そして心の中でお題目をお唱えしながら作業をします。
一般の方がご自身のお仏壇に奉る御像でしたらそこまでしなくてもよいかと思いますが、修復作業の前にはお線香を供え、合掌し数度お題目をお唱えして「お祖師様これから御身に手を入れさせていただきます。」とお声掛けしてから作業してください。
またお仏壇が出来上がった時に、菩提寺のお上人に経緯をお伝えし、お仏壇と共に開眼供養をしましょう。
お仏像をオークションに出品する方がいるというのは些か残念な気もしますが、せっかくの御縁でお手元にやって来られたお祖師様です。
ぜひきれいに修復され、大切にしていって戴きたいと思います。
良いお仏壇に仕上がることをご祈念いたします。